この組鑿は、僕が21才の時に参加した削ろう会の副賞で頂いたものです。まだ当時の自分には早いと思って大切にしまっていました。
先日行われた小川棟梁講演会のお話の中で『自分に合った使いやすい切れる刃物を持つ。それで仕事は絶対上手くなる』と言っておられました。
そこで、僕も30才になりそろそろ仕込んで使ってみることを決意しました。
國慶作の追い入れ鑿は厚手のしっかりとした作りで、狂いの無い正確な仕上がりには思わず見とれてしまいます。
新しい鑿は直ぐに使えるわけではありません。最初にカツラ(下がり輪)と呼ばれる柄の末端に付いている金属の輪っかを刃物側に沈める必要があります。カツラは鑿を玄能で叩く時に柄がボロボロにならないように付いているのですが、少し沈めて柄の末端を出しておかないと直ぐにカツラが外れてしまうようになるのです。
カツラの仕込みのあとは刃物を研いでいきます。新品状態では刃先が1mmほど潰してあります。1mm研ぐのはかなり大変なので、研ぎ機を使ってある程度刃をつけてから手研ぎで仕上げました。
手研ぎでは刃の黒幕1000番、2000番、8000番、最後に天然砥石で仕上げています。
これで仕込みはおしまいです。
國慶作の鑿は国内でも最高クラス。切れることは間違いないと思います。あとは小川棟梁が言っていた、自分に合っているか。この鑿を使ってさらに成長していきたいです。