先日工場の古い棚の中に鉋が入っているのを見つけました。銘には千代鶴運壽と刻印がされています。千代鶴といえば非常に有名な鉋鍛治で一瞬テンションが上がりましたが、こちらは登録商標と刻印がされているので問屋銘になります。この銘で色々な鍛冶屋が鉋を打っているようなのですが、今回見つけた鉋は特徴からして故田中昭吾さん作のモノと思われます。
縦に無数に刻まれた線と、花押の形が特徴的です。銘の周辺は昔この鉋を使っていた人が裏金を叩いた跡が付いています。
研いだらこんな感じでした。研ぎ味からすると鋼は青紙だと思います。地金は少し固めな感じでしたが、研ぎにくいということはありませんでした。ただ、昔この鉋を研いでいた人の癖を修正するのにとても時間がかかりました。
もともと入っていた台は、大きく割れてしまっていたため、他の使っていない鉋台に入れ替えて仕込み直しました。
こうして見ると、とても良い鉋に見えますね!今でも田中昭吾さん作の千代鶴運壽は大工道具屋さんで販売されているようですが、概ね価格は3万円〜4万円くらいなようです。
重要なのは切れ味ですよね。軽く削って見た感じですが、とても良く切れました。艶も良い気がします。最近薄削りにハマっているので、これからしばらくこの鉋を勝負鉋に仕込んで使いっていきます。続報をまた書きたいと思います。
広葉樹を削っても良さそうなので、楽しみな鉋がまた一つ増えました。